「うのん」の気象歳時記ブログ

薬師寺近くの小さな本のある喫茶店

薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

薬師寺から少し離れて
「昔むかしの笑いばなし」から 「毒まんじゅう」です
むかーし、村の小さな寺に、和尚さんと小僧が住んでおったそうだ。
あるとき、和尚さんが小僧を呼んでいった。
「これ、小僧や、わしはこれから出かけるが、わしが留守の間、戸棚のまんじゅうを食うでないぞ、あのまんじゅうには毒が入っておるから、食うと死ねる。ええか、どんなことがあっても食うでないぞ。」
和尚さんの出かけた後、小僧はどうにもまんじゅうのことが気にかかってならん。食うなと言われれば食いたくなるのが人情というもの。
「ようし!」とばかり、小僧はさっそく戸棚のまんじゅうをひとつ取り出すと、ためしに犬に食わせてみた。案の定、何ともない。
「やっぱり思うた通り、和尚さま、全部一人で食うつもりだっただなぁ」
小僧はしめしめとばかり、ひとつ食い、ふたつ食いするうちに、やがてとうとう全部たいらげてしもうたそうな。

本のさし絵から

するとそのとき、突然和尚さんがもどってきた様子。小僧はあわててしもうたものの、とっさに何を思いついたが、日ごろ和尚さんが大事にしておるつぼを、わざと板の間に打ちつけて割り、うそ泣きを始めたと。
「これこれ、小僧、いったい何を泣いておる。」
「ハイ、和尚さま、先ほどそうじをしておりをましたら、うっかり和尚さまの大事なつぼを割ってしまいました。」
「なに、なんとな!」
「それで死んでわびようと、あの毒まんじゅうを全部食いましたが、まだ死にきれずにおりまする」

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