薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記 十津川郷の昔話
やんちゃ小僧
むかし、親のいうことを聞こうとせん、やんちゃ小僧がおった。
ある日、またまた、親の言いつけをきかんので父親は怒って、とうとう、柿の木に縛りつけたそうな。小僧、なんとかここを逃げ出すことはできないものかと思案しているところへ、魚売りが魚を担(にな)って通りかかった。
やんちゃ小僧、木の上から、
「おうい魚売り。」
と声をかけると、魚売りが、
「どうして、そんなところにいるんだ。」
というから、
「おれは目が悪いので、ここでこうしてもらっているんだ。」
すると、魚売りは、
「おれも目が悪いのじゃ。おれもちょっと代わってこもらせてもらえないか。」
という。
「そうか、お前もか、それなら変わってやってもよいが。」
と、しぶしぶ代わるふりをして縄を解いてもらい、入れ代わりに魚売りを縛りつけ、急いで魚売りの荷物を担(にの)うて逃げ出した。
そこへ、父親がやってきて、
「もうこれかたは、言うことをきくか。」
と、いったら、魚売り、
「おれは目が悪うて、こもってる。」
と言い返したから、父親はかんかんに怒って、
「なんとなまくらな奴じゃ。もうそんな奴は海へほうりこんでやる。」
というて魚売りをそのまんま引って行き、海の中へドボーンとほうり込んでしもうたそうな。
これを見ておったやんちゃ小僧、しめたと思って家に帰り、
「おとうよ、もうちょっと深いところへほうり込んでくれたら、大きな魚がとれたのに。浅いところじゃったから、こんな小さい鰯しかとれなんだわ。」
と言って、魚売りのかごを下ろした。
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