薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記
奈良で有名な春日大社などにまつわる昔はなし 紹介させてください。「春日の森の昔はなし」 本のある喫茶店 うのん で所蔵している お子様から大人の方々にも楽しんで頂けることを祈ります。「春日大社」発行のほんです。 さし絵を写メでそのままです。
「恋をした神さま」
昔むかし、東の国の鹿島(かしま)の神さまタケミカズチの命(みこと)は永住(えいじゅう)の地を探すため、はるばる奈良にっやってきました。奈良の春日野(かすがの)には母親(ははおや)のミカハヤヒの命(みこと)がおられたからです。
広々とした春日野には藤や野花が咲きみだれ、こんもりとすげ笠を伏せたような、ひときわ緑こい山が見えます。御蓋山(みかさやま)です。そのうしろに春日の山なみが薄紫にかすんで、それは絵のよぷに美しい眺めでした。それは絵のように美しい眺めでした。時々森の木陰から鹿が飛出してきて、小川の水を飲んでいます。赤や黄色のうすい着物を春風になびかせているのは若菜(わかな)を摘みにきた里の乙女たちでしょう。
朝晩、鹿島灘の荒磯を見ながら育ったタケミカズチにとって、この奈良の自然の美しさは全く夢の国のようで、すっかり気に入ってしまいました。そしてここを永住のすみかにしよう、とタケミカズチは心の中で決心しました。
やがてその山頂に、タケミカズチ、ミカハヤヒ、トネリを祭った社が建ちました。「コウノ社」と呼ぶ神社は奈良県の山間部だけでも数ヶ所あって、どれが最初にできた社か、はっきりしませんが、ともかく今の春日大社から東方の山の中としておきましょう。
そのうちの一つ、春日山の稜線の中程にう、落葉に埋まるように東に向かって建っている小さな社殿が、現在、春日大社末社の「神野神社」です。
昔から蛇や剣というものは水に深い関係があるのですが、これらの神々は農業や人々の生活を守る大切な水の神さまだったのです
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