「うのん」の気象歳時記ブログ

薬師寺近くの小さな本のある喫茶店

薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

薬師寺から少し離れて


「昔ばなしの笑いばなし」から「じぇんこがモッケになった話」です
その昔、北のある村さ、そりゃあけちで欲だがれの金貸しがいたと。
けちもけちもこの金貸とくれば、情け容赦なく金ば取りたてるもんで、
「ありゃ、鬼だ」
「あんな金貸しア、早くくたばりゃいい」ってみんな言っていたと。
金貸しア、欲な上にこれまた大そう心配性であったから、自分のじぇん(金)こば、火事になったらどうするべ、泥棒に入られたらどうするべ、どっかいいかくし場所ねえかな、って毎日あっちこっち探して歩いたと。
ある晩、金貸しア、からのカメばめっけもんで、そん中に金ば入れて裏のは竹佐埋めたんだと。そうしてカメば埋めるとき、「こら、じぇんこや、もし誰か他の者がお前をめっけたら、モッケ(カエル)になれりや、いいか、モッケになるんだぞォ」と何度もそう言ったそうだ。
ところがその様子は、小便に起きた隣のじさまが、しっかと見てそまったなだ。
じさまア、いつも金貸しにばかにされていたから、「こりゃ、いいとこめっけたど」ってナ
カメの中のじぇんこばみーんな取ってしまい、かわりにモッケを入れて知らんふりしていたんだと。
さaて次の晩、金貸しは畑さ行ってカメを堀り起こし、ぶったまげでしまったと。なんとカメの中からは、モッケがぴょんぴょん何匹でも出てくるんだ。金貸しは必死で、
「おらだ、おらだ、モッケにならんでもいいから、もとのじぇんこに戻れエ」
ってさけんだども、モッケは本物だから、あっちこっちぴょンぴょン飛んでいくんだと。
したらば、金貸しア、泣きべそかいてナ、「こらあ、おらのじぇんこ、待てーッ」ってモッケのあとは、ひょこひょこに追っかけていったとさ。

×

非ログインユーザーとして返信する