「うのん」の気象歳時記ブログ

薬師寺近くの小さな本のある喫茶店

薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

薬師寺から少し離れて
「奈良昔ばなし」から 「ななつぼ」です。
 むかし、むかしのおはなしです。
 あるところに、ふたりのこじきがいました。
 ポカポカといい心もちの昼さがり、なにをすることもないこじきは、山のふもとにゴロリと横になると、仲よく昼ねを始めました。
それからどれくらいたったころか、ひとりのこじきが目をさましました。「あーあー、よく寝たもんだ。」と両うでを大きくふりあげてのびをしながら、ひょういととなりを見ますと、もうひとりのこじきは、グウグウ高いいびきのまっさいちゅうです。・
その時、一ぴきのハチがどこからか飛んできて,眠っているこじきの耳の穴にスッと入っていきました。「あれっ?」とふしぎに思って見ていると、さきほどのハチが耳の中を出たり入ったりし始めました。こじきはぐっすりよく眠っています。
 そこで、起きていたこじきが、「おいっ大変だ!ハチがおまえの耳の中に入ったぞ」と大声をあげて眠っているこじきをおこしました。

 本のさし絵から

「うーん、ハチだって?わしはそんなハチのことなんか知らんぞ。それより、せっかく人がいい夢をみているのに、たたきおこしやがって・・・。」起こされたこじきは、ブツブツ文句を言い始めました。
「その、いい夢って何だ?」と起こしたこじきが尋ねますと、「夢の中で、この山のふもとにおたからのいっぱいつまったつぼがうめてあるという、ありがたいお告げがあってな。今しもそいつをほり出そうとした時に、おまえさんにおこされちまったという案配さ。わしらは、夢の中でも金には縁がないようだ。」そう言って、」起こされたほうのこじきは、さっさと出かけてしまいました。
おこいしたほうのこじきも、反対の方角へと歩きましたが、しばらく行ったところでこっそりとひき返し、昼寝をしていたあたりを夢中でほり始めました。すると驚いたことに、本当に小判のびっしりとつまったつぼが出てきました。

「そうか、あの夢のお告げの主は、ハチだったのだなあ。」目の前のすごいおたからをながめながら、こじきはまるで夢をみているような心地でした。
 小判のつまったつぼをもち帰ると、さっそく大金持ちの暮らしぶりになりましたので、そのこじきの噂は、あっというまに知れわたりました。
それからしばらくして、その噂はを耳にしたもうひとりのこじきが、大金持ちになったこじきのところにやってきて、そのわけを聞きますと、大金持ちのこじきは、奥の部屋から例のつぼを出してきて、正直に全てを話してきかせました。
訪ねてきたこじきが、その話を聞きながら、つぼをながめたりさわったりしていますと、つぼのうらに、「七つぼのうち」と書いてあるのが目に入りました。そのこじきは、おたからのつぼがあと六つはあるということに違いありません。すぐさまふたりのこじきは、あの昼寝の場所へ出かけ、どんどんどんどんほっていくと、ま、でるわでるわ、小判いっぱいのつぼが、六つ見つかりました。

×

非ログインユーザーとして返信する