「うのん」の気象歳時記ブログ

薬師寺近くの小さな本のある喫茶店

薬師寺近くの うのん ら大和気象歳時記

薬師寺から少し離れて
奈良の昔話です
どうぞお読み下さい 小さい御子様には読んで差上げて頂ければ幸いです。
本日も「奈良昔はなし」から
金を屁(ひ)るネコ

本の挿絵から

むかし、ある田舎に、美しい姉と 醜い顔の妹がいました。姉のほうは きれいな顔をじまんに思っていたので たくさんのもらい手のなかでも 一番の長者のところへ嫁にいきました。妹のほうは もらい手もなかったけれど しんぼう強くて働き者だったので びんぼうな炭焼きと一緒になりました。正月が近づいても 妹のところではお金がなく餅もつけません。そこで、妹は 山へいって松の枝をきってくると姉のところへもっていって 「姉さん 門松にこの松の枝を買ってください。」とたのみました。姉は、妹をかわいそうにもおもわず、「門松ならまにあっていますよ。」とことわりました。妹が泣き泣きあるいているうちに川渕へでたので、「竜神さま、この門松をさしあげます。」というと、背おってきた松の枝を渕(ふち)へほうりこみました。するとにわかに水面があわだち一匹のカメが、背なかにネコをのせてあらわれました。「わたしは竜神さまの使いのものです。門松のお礼にこのネコをあげましょう」といって、水底にきえました。妹が、とぼとぼ帰るうしろから、ネコもついてきました。家へ帰ると、食べさせてやるものもなかったので、妹がため息をついていると、ネコは、土間で金の糞(くそ)を屁(ひ)りました。妹はよろこんで、それを町へもっていって売りました。ネコは毎日、金の糞を屁ったので、炭焼は、たちま長者になりました。ある日、姉がやってきて、いやがる妹から無理やりネコを借りていくと、どっさり金の糞を屁らそうとして、どんどん食べさせたので ネコは死んでしまいました。姉はおこって門口にすてましたから、かわいそうにおもった妹が、つれて帰って、裏山に埋めると、そこに一本の木が生えて、たくさんの金の実がなりました。

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