「うのん」の気象歳時記ブログ

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長谷寺のだだ押し



外部資
西国霊場長谷寺の追儺会を俗に「だだおし法要」といい、二月十四日(以前は旧正の十四日)の午前二時から勤修される。
まず悔過導師以下職衆が上堂し十一面観音悔過法要を行う。次いで大導師が御胎内仏および如意宝珠、・閻浮提金(えんぶだこん)の宝印などを納めた箱を本尊宝前(向かって左)壇上に置き、六坊住職立会のもとに封印を切って閻浮提金の宝印その他を手移しで本尊宝前に供える。盛装した化主(大僧正)が山内の僧侶三十余名をしたがえ門外不出の七種の秘宝とともに小池坊から法灯さんとして輝く本堂悲閣に出仕する。
七種宝物開封が終わって鬼面加持の配役に当てられた者は立って本尊の向かって右前に飾られた鬼面を加持し一座の法会の無魔成満を祈念する。二箇法要が終わって職衆立座願文を読誦し次いで三匝行道(そうどうぎょう)二度目散杖牛玉(ごおう)札を持って行道する。行道が終わって元の座につき来盤を下のりて二畳台に着く。宝印加持の役の者、宝印を手にまず本尊、次いで導師、職衆、参詣客と順次に宝印を授与する。法要の中ごろから松明を出す。鬼三匹がこれに伴い観音堂を三周する。その状況は次のとおりである。
鎮護国家・玉体安隠の十一面悔過と牛王加持の秘法ののち赤の着物に同じ色の裁着をうがち赤をだすきをかけ0.6メートル余の大鬼面を冠って赤鬼に扮した男が、こもりくの山内にとどろきわたるホラと太鼓を合図に炎々ともえさがる一丈余りの大松明をかついで、本堂西北入り口から回廊におどり出す。遠方から参集した千余の人々が黒山のごとく堂の周囲に待ちかまえていたのが、ドッとなだれをうって鬼に扮した男に詰めかけ、松明の火をうばおうと鬼と群集とが回廊を追いつ追われつして境内の広場に出て炎の中でもみあってグロテスクな情景を展開する。鬼が松明をうばわれると再び本堂に引き返し長さ4メートルの松明をかついで回廊に飛び出し、またもや群集にうばわれると三度目には長さ4.5メートルの松明をかついで、こんどは逆に東入口から飛び出し、本堂を三周する。これまた群集が追いかけて松明をうばい鬼と群集が炎の中でもみあい、九時過ぎに終了する。
昔当山の乾角の幽谷に悪魔が住んで、暮れ六つの貝を吹くと、必ず悪魔が出て人を悩ましたので、むかしから日常は暮れの貝を吹くことただ一声であう。当夜になって修正の法力をもってかれの悪鬼をのぞくことを劇的に演出するのである。これは開運厄除を祈るものである。

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