「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「春日の森の昔ばなし「」から
「耳が遠いので損をした神さま」


時が流れて、都が飛鳥の藤原(橿原市醍醐)にあった頃、タケミカズチの命はその守り神として、大和の東の山から都の東方安部山(桜井市安部)にお移りになりました。
そしてさらに都は藤原から平城に移るのですが、そんな或る日、奈良からエノモトの神さまが安部山に訪ねてきました。この神さまは奈良の春日野一帯の土地を所有する大地主の神さまです。ひょっとすると前に話したミカハヤヒのの一族かもしれません。それはともかくとして、エノモトはタケミカズチに、「私の住んでいる春日野と、あなたの安部山を交換しませんか。春日野はとっても景色のいい所ですよ」と持ちかけました。


都を守るタケミカズチは、そんも都が奈良に移れば当然奈良へ引越すことになるでしょう。そうでなくても奈良は以前から憧れの地、渡りに舟とすぐさま承知しました。ところが反対に安部山へ替わったエノモトは、参詣人が少ないので毎日貧乏暮し、とうとうタケミカズチに助けを求めてきました。タケミカズチは、「それなら私の社のそばへ御殿を建てて一緒に住めばよい」ということになり、できたのが、春日大社の廻廊(かいろう)の西南の角にある「榎本神社」なのです。


このいきさつについてもう一つ別のお話があります。それは明日にします。

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