薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記
薬師寺から少し離れて
「昔むかしの笑いばなし」から 「頭痛のもと」 です。
村の庄屋のおかみさんは、あたりでも有名なかんしゃく持ち。朝から晩まで一日中グチをこぼしては、旦那といわず女中といわず、相手かまわず大声でどなり立てておったと。
ある日のこと、おかみさんは村の世話役をたずね、いつものように話をはじめた。
亭主の遊びにはじまって自分の悩みごとや、果ては他人の悪口まで、しゃべるというよりは、ガアガアまくし立て、しまいに泣き出すしまつ。
その間世話役の旦那は、ただ黙っておかみさんの話を聞いておったそうな。
やがてしばらくたったころ、気が済んだのか、おかみさんは急にけろっとした顔で言った。
「ああ、おかげで頭の痛いのも治りました。そろそろおいとまいたしまする。」
すると旦那の言うたことには、
「いんや、おかみさん、頭の痛いのはのうなってはりません、どうやらわしに移ったようです。」