「うのん」の気象歳時記ブログ

薬師寺近くの小さな本のある喫茶店

薬師寺近くの「うのん」から大和気象歳時記十津川村の昔話

奈良県の南 和歌山と接して熊野古道小辺路がある。
山林に覆われた村です。
狸 
昔、高津(たこつ)の下の丸瀬下(まるぜした)でのことであった。この時分の川といっても、谷のようなものだった。そんな所へ鮎ひきに行った時の話だが、わしが一日ひいて、夕方、家へ帰る途中のことだった。


なにげなく川を眺めていると、一人の釣人が川原を上へ行ったりしている。何かを探しているのかと、最初は思っていたが、あまりにもようすがおかしいので、よく注意して見ると
、川辺の大きな岩の上に狸が座って尾を振っているのである。上へ振れば釣人は上へ、下へ振れば下に行く。
これは、きっと狸にだまされているにちがいないと思い「おーい。」と大声で呼んでやった。すると、狸はびっくりしたのか、山の方へ、逃げていった。釣人は疲れたのか、すわり込んで動こうともしない。しばらくして、川から上がって来た釣人は、
「いくら帰る道へ行きたいと思うても、行けなんじゃ。」
「もう二度とここへは鮎ひきに来んぞ。足がだるうて。」
と言って帰ったことだ。

■住所 630-8053奈良県奈良市七条1丁目11-14
■℡ 0742-43-8152

×

非ログインユーザーとして返信する