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十津川 大踊り 8月13日~15日

外部資料
奥吉野十津川では、中世以来の伝統をもつ風流踊りが今に伝えられ、あちらこちらの村で毎年行われている。その代表的なものが十津川村の武蔵・小原・西川で盆踊りとして踊られる「大踊り」である。
8月13日は小原の大踊りで、午後8時ごろから12時ごろまで、小学校の校庭で踊られる。8月14日は武蔵の大踊りで、夕刻から夜中の2時ごろまで、旧小学校の校庭で踊りあかす。8月15日は西川の大踊りで、午後7時ごとから12時ごろまで小学校の校庭で踊られる。大踊りというのは各種の踊りの最後に踊られるもっとも重要な踊りである。


武蔵ではかつて光明寺の境内で踊られたが、いまは旧小学校の校庭に大きな櫓を組んで、音頭取りがその上で音頭をとり、そのまわりに輪になって盛大に踊る。盆踊りの曲名としては、お松くどき お杉くどき 花づくし、笠づくし 笠踊り、おかげ踊りをはあじめとして三十余曲ある。その最後に大踊りがあり、いまは「大踊り歌」一曲を踊るが、かつでは「十三四五」「鎌倉踊」「御城踊」なども踊られた。


この大踊りは他の踊りと異なり、男子が太鼓持ちに分かれ、女子が襷がけで扇子を手にし、さらに笹竹に切子灯籠を吊り下げた灯籠持ちが列をつくって横に並ぶ。そして男女の音頭取りがかけ合いで唄をうたう。その調子ははじめゆっくり、後半のセメの部分にんるとテンポが早くなり、踊りも躍動する。踊りの輪の内側では、太鼓打ちが赤・青に染分けた房のついたバチを振り上げ、はねるようにして太鼓を打つ。灯籠持ちは踊りの場を駆け巡り、踊りの雰囲気を盛り上げる。かつてはこの灯籠を最後に焼いたという。すなわち盆の灯籠送りの作法をおこなったのである。また、女性や百姓姿に扮した道化者も登場することもあったという。これこそ風流の一要素であった。この「大踊り」の歌詞のなかでとくに注目されるのは「なにとてちごにしやぐまを着せにや」という歌詞である。稚児に赤熊をきせるということは、中世以来畿内にひろく踊られた風流踊りの重要な要素で「早馬」と称する子供の集団が、唐子衣装などで扮装をおらし、頭に赤熊をかぶって踊りの輪の中で跳躍乱舞、ときには駆け巡る役のあったことを物語る。また「なみあぶだぶつ さあおどらいで」というのも、あきらかに念仏踊りの系譜をひくものであることを物語っている。すなわち 大踊りは、田楽に念仏踊りが習合し風流化した踊りであることが明らかで「吐山の大踊り」「大柳生の太鼓踊り」や各地の「いさみ踊り」「なもて踊り」などと一連の風流踊りであることがあきらかである。

■住所 奈良県奈良市七条1丁目11-14
■℡ 0742-43-8152

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