「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「紀州の龍神民話」
猟師の邪魔をし狸」
狸かしこいゆうても、しまいは人間にかなわんのやけどのう。何んどもやると化けの皮はげるんやな。殺生人(猟師)が山へ行ってもどうもうまいこと捕らしてくれんのやな。さあ猪や射とうとしたら、鉄砲の筒先の方へ人間が出てくる、鹿出た射とうとおもたら白い手拭かぶった姉さんが突然現れたりするさか、さっぱり獲るらしてくれん。そのうちある日ある人が、猪山へ行ったところが鉄砲もった人出てきて、一つしょうに猪とりにいこら言うんや。こりゃきっと狸にちがいない、射ったろうと思うんやが、なかなかうつ機械ないんや。おまえ先行け言ゃ、いやお前先歩けゆうてゆずらんので仕方ない。そいで鉄砲かたげて先歩いとると谷あって谷の上に一本の丸木橋かかっとる。よし、一本橋の上なら横へはいかんは、そう思てかたげとる鉄砲の引金引いたら、ずどんと一発なった。さあ、そいたら人殺し言いながらにげる、血おとしとるさかどこかかすったのか、血のあとつとうていって見たら家のすのこへはいっとる。朝さがしてみたら床下で大きな狸死んどった。それからは猟師のじゃまする狸おらんようになった。

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