「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「紀州の龍神民話」
舟を流す狸をくくった話
かはらぼうから発電所の方へ行く道に今は橋かかって便利やけど、むかしは舟で渡ったんや、まわり道あるけど大変遠いから、そこの舟が雨降るときには舟をつないどる綱をきまって食いちぎって流されるんやの、そら狸やちゅうことがわかったんや、狸の足あとあるし、雨の時に限って流されるんや。それをなっとうしてでも捕らんならんて言うていたら、ある人の言うのには、狸やその人のゆうことをきいとって、悪うわるうするもんや、わし昔やけど山へ行ったら山柿が美味そうに光っとるさか、こりゃうまそうや狸にとられんまに取らんならんゆううて明る日山へ行ったら狸がとってしもとった。そやからうそでもゆうてくくってこかしたれいうので、その人もかしこいさか、雨降りに晩方川のへり行ってここらに、くいあったはずやが、杭がない杭あったらくいくいゆうはずやが、そうゆうてらろらろしながらくいくい言いなんかなあて言ていたら、あちらの方でくいくいくい言うんやて。その人は早速綱をもっていって、その杭を下かきりきりまきにまいといて朝いて見たら狸をくくってこかしとった。それからは舟流されなんだんやの。

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