「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「子供のための大和伝説」から
「洞泉寺のあかかけ地蔵」

大和郡山市洞泉寺町に洞泉寺というお寺があります。その寺の本堂に向かいあって小さな堂があり、地蔵さんをまつっています。世間では、垢かき地蔵とも、垢すり地蔵ともいっていますが、ほんとうは閼伽(あか)かけ地蔵さんです。閼伽というのは仏さんに供える水のことで、閼伽をかける地蔵さんという意味です。
この地蔵さんは、もと郡山城にあったのだが、天正のころ(400年ほど前)郡山城主のの大納言・豊臣秀長と、洞泉寺の開山・宝誓上人が同じ夜「郡山城内の大書院の西庭のくつぬぎ石をどうせんへ移すように」という夢をみました。
それで、その石をひっくり返して見ると、地蔵さんであったので、さっそく洞泉寺へお移り申したいということであります。
ところがこの地蔵堂の外の庭に大きな石風呂が置いてあります。カットに書いたような箱のような石ですが、内部には仏さんのしるしである四ヶ所に刻んであって、鎌倉時代のりっぱなもので、この地蔵さんと一しょに、この寺へ移したらしいのです。もとはこの石風呂の前方の上に、この地蔵さんを立たせ、頭の上から湯をかけるしかけをしてあって、湯 すなわち閼伽は地蔵さんの頭から身体をつたって下に落ち、湯舟である石風呂の中へ入るようにできているのです。そしてこのお地蔵さんにかけた閼伽のお湯で湯ああみをするのでした。
寛永九年に出版された「南北二京霊地集」という本によると、これは法華寺の東の阿閦寺にあった沐浴の道具であったが、後に般若寺のうしろの北山に移され、それが天正年間に郡山城を造る時に、そこへはこばれた、と書いてあります。

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