「うのん」の気象歳時記ブログ

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畝火山口神社夏祭り お峰デンソソ 7月28日29日

外部資料料

畝傍山の山麓(昔は頂上)に鎮座する畝火山口神社の夏祭りは、毎年7月28日29日の両日行われ、俗に「お峰デンソソ」といわれて、近在からの参詣者も多く、参道には露店が立つ並ぶ。昔は近在42村の郷社であった。農家では「お峰デンソソの太鼓が
聞こえたら田にはいったらあかん」といい、この日を目途に修理に励み、終わってしまうようにつとめた。28日の夜の参道に五色ののぼりがたてられ、近在からたくさんの参詣者で賑わう。特に夏痩せするような子は、綿入れを着せると御利益があるといわれている。
この祭りのなかでもっとも中心となるのは、「お水取り」といって神水を汲む神事である。
28日の早朝(今は26日)、神官が吉野川へ神水を汲みにいくのである。壺阪峠を越えて土田へ行くのであるが、明治維新前は武装した12人の供を連れて、道中をおごそかな行列でおこなった。道中はおごそかな行列で行った。神官は大谷播磨守を名乗っていて、高取藩頭を通るときも、「播磨さんのお通りや」といって、道をあけたといわれる。維新後も馬二頭と供二人を連れて行ったが、今では宮司が電車で行くようになった。水取場は、土田の吉野川辺の周囲二丈あまりある榎の木のあるところで、その木の下で修祓式をし、水を水取り桶に入れて持ち帰ったといわれる。
この宮からこうして吉野川の水を取に行くのに対して、大阪の住吉神社からは、毎年祈年祭と新嘗祭にはもとの境内である畝傍山頂上の土取り場へ埴土(はにう)を取にくる行事がある。この行事を「住吉の土取り」といいい維新前には騎馬で練り込んだといわれ、「摂津名所図会」にもそのことが記されている。
昔は、武装した行列が雲梯(うなて)の川俣神社まできて、神社の前を流れる川で身を浄め、神社での祭式の装束に着替えたので、川俣神社を一名「装束の宮」ともよばれる。畝傍山の中腹に「馬つなぎ」というところがあって、そこに馬をつなぎ、徒歩で頂上にのぼり、「天の真名井」と伝えられる霊水で手を浄め、畝傍山口神社宮司が三つかみ半の埴土を取り、山を下る。土を入れる箱は、昔は毎回新調されたが、今は唐櫃を常用している。この土をもって住吉神器がつくられたという。近年「埴土取り」の日は二月十七日と十一月二十三日の前十日間ぐらいのうちで、住吉、畝火山口の両社のあいだで日を決めておこなわれるので、毎年少しずつ日のずれはある。


■住所 奈良県奈良市七条1丁目11-14
■℡  0742-43-8152

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