「うのん」の気象歳時記ブログ

薬師寺近くの小さな本のある喫茶店

三輪そうめん とにゅう麺

外部資料
素麺は多く夏向きの食品におもわれるが、「大和」では「にゅうめん」として年中食べられる。夏は温かいのを冷たくして、冬は、温かいままいただく。「にゅうめん」は煮麺のことである。
「にゅうめん」は、お吸い物より少し濃いめの味を付けた汁にゆでた素麺を入れ、ひと煮立ちすれば丼鉢に汁と共に入れて、かまぼこ 薄焼き卵 鶏肉 含めにのシイタケ 青みなど季節の具を上に飾る。
「みそにゅうめん」とでもいえるのか、大和では夏にカボチャとナスの味噌汁に素麺を入れて食べることが多い。煮あがった味噌汁を火から下す少し前に、素麺の束をさばいてそのまま入れるのである。適当な粘りけがあって素朴な味である。
奈良時代に唐から伝来した素麺の技法は、大和の中央にある三輪地方(桜井市)に伝わり、この地は初瀬川や巻向川の良質の水に恵まれ、そのうえ川の流れの落差が大きく水車による製粉が盛んにおこなわれたことなどから、素麺づくりに適していたと思われる。
三輪の手延べ素麺は寒中の農家の副業であり、寒い冬の晴天の日は、農家の庭いっぱい白い糸のように干されている風景を見ることが出来た。農家では夜明けの寒空を眺め、肌にふれる風で気温と湿度を知り、長年のカンによって小麦粉を練る塩水の濃度を加減する。練ったり寝かしたり、寝かせては縄のようにだんだん細くし、最後は「かど干し」にするまで大変な作業の連続である。竿を両足で踏んで手加減で糸のように細く伸ばすのは、相当熟練した技法が必要である。

■住所奈良県奈良市七条1丁目11-14
■℡0742‐43‐8152
■✉honcafeunon.nara.nisinokyo@gmail.com

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