「紀州の龍神民話」から
ゴウラと福井の殿さん
この下っつらの部落にね、牛淵っていうてね。この下の部落に福井殿っていう人のお城があって、ある時、白い馬を殿さんがこうとって、夏になったら牛淵へ水浴びせに行ったら、ある時にその白馬がびっくりして上へ飛び上ってきた。ほいて殿さん何事じゃって見たら、ゴウラが馬の肛門を抜こうと思って出てきて、馬に引き上げられ、そして、殿さんが一刀のもとに切ろうと思ったらゴウラが、「どうぞ助けてくれ」っていうて、条件付きで医王寺の檀家に門松を植える時まで出てくるな、もし門松を植えたならば出てきてもええって約束した。それで今も医王寺の壇下に於いて、松を庭木に植えた家ないんや。