「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「紀州の龍神民話」から
ゴウラ淵と龍蔵寺
この上にね、重助、庄助、竹蔵て三人兄弟があって、時に盆の十三日「やで。盆の十三日には、この辺では川へ行かれん。魚は食われんてからいうたんや。そやけどその人らは、どういう訳か知らんけどな、盆の十三日に川へ行たんやと。
魚の大きなんが、一面にいたらしんや。そしたら上の兄貴が「吾ら行て夜振りして魚とってきよら」て、こがいな籠い火い入れてるや、ほしたら弟は下で網受けて、下って来たんをとるよ。兄が上から振ると、火を嫌ろうて魚、下へ逃げるやろう?
「兄貴しっかり振ってくれ」
そしたら兄が川へズブズブ入ってしもうたらしわ。「兄貴何すんね、しっかりせぇ」ちゅう内にう、自分もちゃって引込まれたん、庄助だけが助かったて。
死んどんの引き上げて、川の何い見て、ゴザ着せてねかすの、尻いこんな穴あいとったてちゅう。ゴウラに尻やられた。尻抜かれたてきいとるよ。
それからの話や。
大熊の龍蔵寺ちゅのあるやろ?あそこの和尚が、その尻抜きにいたゴウラにインネンを授くるのに、
「この寺に小松が生ゆるまで、川に小石が無いよになるまでとられん」ちて、おっさんにインネン授けられて、それからゴウラないよになった。あんた、川に小石がないようになるまでて、仲々のう、大変なこっちゃがのう。
ほで、私らこの龍蔵寺は松の木は植えられんて。ゴウラにインネン授けてあるさかな。

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