「てんりのむかしばなし」
かくし田

外部資料

外部資料

昔、竹之内は、山地のため田んぼも少なく、農民にとって米は大変貴重なものでした。
室町時代の末期、竹の内の農民が、米がよくできるように、春日神社へ灯籠を寄進しました。
しかし、その灯明料をつくらねばなりません。田んぼの少ない竹之内の農民は、灯明料をかせぐため、そこからできた米を灯明料にしました。そして、その田んぼには、「春日灯明料耕田」と、書いた碑をたてました。
それから政治は徳川幕府にうつり、年貢米（一年にとれた米の中から税として何割かを提供する。）をとりたてる様になりました。
柳生のお殿さんは、特別にとりたてがきびしく、農民はせっかく作った米も食べずに、麦や雑穀を食べて年貢米をおさめたこともありました。天候が荒れて、米がみのらない飢餓の時などは大変でした。貧しい村になり、ばくちでその日を暮らす様な、荒れた生活をする人もあったということです。
苦労した農民は、幕府の役人の目にとまらない竹之内峠の春日灯明料耕田を、「かくし田」と言って内緒で耕し、少しでも年貢のかからない田をつくり、農民の生活をうるおそうとしました。
江戸時代に苦しんだ農民の、命の田であった「かくし田」も今はなく、その碑だけが、竹之内峠に残っているということです。