「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「てんりのむかしばなし」から
「牛塚」

昔ある農家に、よく働くひとつがいました。ある日、牡牛は働きすぎて疲労が重なったため、家の人々の手当の甲斐もなく、病気になって死んでしまいました。家の人々はたいそうがっかりして、せめて牝牛だけでも元気で働いて欲しいものだと思い、おいしい餌をやって毎日ご馳走をしたのですが、牝牛は相手の牡牛が死んだことのショックが大きかったのでしょうか、日に日に淋しげになっていき、食事もしなくなりました。牡牛を慕っているその姿に家の人もふびんに思い、いろいろ元気がなく、とうとう牝牛も死んでしまいました。

村の人々は、仲の良いよく農家のために働いたひとつがいの牛のために、牡牛のもとに牝牛をいっしょに葬り、椋はその塚の上で大きく繁りました。それからはこの牛塚を農業の神とあがめ、農作の豊作をこの牛塚にお祈りするようになりました。
この村では、今でも男女とも十七才になると、この塚で供養することがならわしとなって、つづいているということです。

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