「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「てんりのむかしばなし」から
「大蛇の恋」②
さて、話は前にもどりますが、庄屋はずっと以前に母狐に死なれた子狐を助けて、育ててやったことがありました。その子狐が庄屋の困っていることを知り、恩返しに大蛇を退治しようと、庄屋の前に現れました。庄屋は喜びました。そして狐にたのんだのでした。

狐は早速、仲間を集め、勅使を受けた行列に化け、石上神宮へ練り込みました。神宮では、突然の勅使にびっくりて、勅使の願いを聞き、神の剣を貸してあげました。勅使に化けた狐は、剣をおし頂き、恩返しの一念を祈り乍ら女の人に化け 嫁取り橋の上に立ちました。女を見た大蛇は、恋の仇と荒れ狂いました。雷鳴とともに池は大波がおこり、蛇は口から火を吹いて女におそいかかりました。その時、狐の女の祈りが神に届いたのでしょうか、大きな雷の音と共にピカッと、稲光が大蛇の眼を射ました。大蛇のひるわすきに、狐の女は神剣をふりかざし、大蛇ののどをつきました。火を吹いていた口から真赤な血がどっと流れ、苦しまぎれにのたうちまわりつつ、大蛇は死んでしまいました。長くのびた大蛇をずたずたに切り、見事に退治したのです。庄屋も村人も、ホッと胸をなでおろし、平和がよもがえったことを喜びました。村人達は狐の勇気をたたえると共に、大蛇の成仏を願い、尾を拾って村の北の方に細長く埋めました。これが、天理市の二階堂駅の北にある細長いコマノの哀れな淋しい恋物語が伝えられているのです。嫁取り橋も今もそのままの呼び名で、草深いとろにひっそりと残っています。

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