「うのん」の気象歳時記ブログ

薬師寺近くの小さな本のある喫茶店

薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

薬師寺南門から徒歩5分ぐらいの所に ライブラリーカフェとして 「本のある喫茶店 うのん」を営んでいます。歴史 民族学などの本多く所蔵しております。
その 外へなかなか出られない方に当方の本を紹介しています。
今日からは 「川上村昔ばなし」を紹介します。


「入之波(しおのは)の話」から
「河童のガタロウ」
昔、入之波の「ナガトの川原」にはな、悪さばっかりしよる河童のガタロウがおってなぁ、みんなどないかしたいと、いっつもおもうとったそうやわ。
そんなある日のことやった。村一番の怪力のハイチロウがな、ガタロウをいっちょ相撲でこらしめたろっちゅうことを思いついたそうや。
いざ相撲を取る時、勝負の前にハイチロウはガタロウにこんなことを言いよったそうや。
「やい!がタロウ。わしは怪力のハイチロウの弟子や。わしと相撲で勝負せい!おまえをいわとばすくらい弟子のわしで十分じゃ。いざ!」そない言うて、がタロウをひょいと投げ飛ばしてしもたそうや。
相撲に負けてしもたガタロウは、ハイチロウにだまされとんのもしらんとな、弟子でこんくらい強いんやから、師匠のハイチロウはどんくらいのもんかと、びっくらがえってしもてな、「もう悪さは一切しません。頼むよってに師匠のハイチロウは連れてこんとってくれ。そないしてくれたら、毎日魚を捕ってくるよってに。」そないいうてがタロウはすっかりまいってしもうたそうや。
それ以来な、人之波の家では軒先にビクをふらくっといたらな、知らん間にガタロウがやってきて捕った魚を入れてくれるようになったそうや。
これでめでたしめでたしになるとやねんけど、ずっと時が経ってなぁ、村人も代々変わっていくうちに、今度は毎日魚をもらっても、食べきれんと腐らせてしまうっちゅう別の悩みが出てきたそうや。ほんでどないしたら河童が魚を入れんようになるかっちゅうことでな、ビクを引っ掛けるのを、河童の嫌いな鹿の角に変えたそうや。そしたら、ぴたっと来んようになったそうや。この頃からな、だんだんと河童の姿も見かけんようになって、今ではすっかり見らんわなぁ。
そうそう、河童がキュウリを大好物なんはな、言い伝えによると、キュウリの汁と酢を混ぜたやつに鹿の角を入れると溶けるっちゅうことやわ。それとな、捻挫に効く「スネリ」(酢・マイモ・メリケン粉を混ぜたもの)ゆうのがあるんやけど、ハイチロウの家で作ったやつを貼ってもらうとなぁ、特に良く効いたそうや。今もハイチロウの家系の家があるねんけど、そこでわしも貼ってもらったことあってなぁ、どこのスネリよりも良く効いたもんやわ。

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