「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「五條むかし話」から
「地福寺の天つぼ」 ①
今から、およそ千三百年ほどのむかし、むかしのお話です。
天智天皇さまという方が、おられて、日本の国(今の奈良県)に、住んでおられたのです。
そのころの白鳳七年に、それは、それは、ひどいひでりが、国じゅうをおそいました。四月の初めごろから五月の終わりごろまで、まるまる二ヶ月というものは、まったく、雨がひとしずくも、降りませんでした。人々は、
「困った、困った。田植えか、できないぞ。」
「今に、飲み水さえも、なくなったしまうぞ。」
と、口々に言い合っては、たいへん心配しました。
お宮や、お寺に集まって雨乞いをしました。
「どうか、天の神様、雨を降らせてください。」
たいこをたたいたり、火をももやしたりして、必死に、お祈りしましたが、いっこうに降りそうにも、ありません。そのうちに、川底をみせはじめました。のみ水も足りなくなってきました。あちこちで、水あらそいが、たびたびおこりました。ひでりは、人々の心の中まで、だんだんからしていったのです。

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