「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「子供のための大和伝説」から
「叔母子岳の一本足」(おばこだけのいっぽんあし)

十津川村の西の方み、叔母子岳という標高1347㍍の高い山があり、高野山から、熊野街道がここを通って、上下20㌔の叔母子岳という難所になっています。
むかし、この峠に一本足という化け物がいて、美しい女に化けて出て、わざわいをしました。
ある時、高野山の西の天野の猟師がこの山で美しい女にあいました。
化け物だと思ったので、鉄砲をうちかけますと、女は手で弾をうけては投げ捨て、受けては投げ捨てて猟師にせまってきました。
猟師はたまりかねて、
「どうか一週間だけ命を借してください」と頼みました。
そうして帰ってきて、天野の神さん(丹生都姫神社)にお祈りしました。すると最後の日に、神さんは、
「二つ弾をうて」と教えてくれました。
そこでふたたび叔母子岳へ行き、女に向かって、鉄砲をうちかけました。女は前のように、受けては投げ、受けては投げましたが、最後に二つ弾をうつと、さすがの化け物もあとの弾には気がつかず、当たってしまいました。
そこで猟師は
「人の生命をとらねば助けてやる」といいますと、女は
「もう決してそういうことはしません。しかし全然とらぬと、食うものがありませんので、果て二十日だけは通る人の命をもらいとうございます」と申しました。
はてのはつかというと、十二月二十日のことです。猟師も一日ぐらいならよかろうといって、許してやったということです。
それで、いまでもこの地方では、果ての二十日には山へはいってはならないことになっています。

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