「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くのうのんから大和気象歳時記

「神野の民話」から
「耀歌(かがひ)の祭と火おこし」
神代の昔、イザナミの命が、火の神伽具土の神をお産みになった時 ミホトを焼いてお亡くなりになりヨミの国へお去りになったことことは皆様もよくご承知のことでありましょう。
そこで怒った夫、イザナギの命が、伽具土の神を刀で切られた時、伽具土の神のお髪が飛んだのが神野山であり、昔から神野山は髪生山と呼ばれ、伽具土の神を祖神としてうやなって参りました。
人類発生の地、豊饒の山と言われるのもそのためです。そして最も大切であった火の神をあがめ、ご守護をいただくため毎年火の祭典が行なわれて参りました。
もっとも大切な火おこしは、火つけ木にウツギを使い、キリもみをして発火、火をおこしたものです。
近くの村人はたいまつを、遠く三輪・長谷の人々は火なわをもって山頂にあつまり、耀歌をたいて神に祈りをささげ幸せをねがったのでありました。
この火祭を耀歌の祭りといい、日本では筑波山と神野山だけに行なわれる珍しいものであります。


つつじ咲く旧暦5月12日、この日を待ちかねた遠近の老若男女が山頂に集まり、火を焚きながら、行楽を楽しみ、またこの日だけは男女の語らいや交際も許されたのでありました。店なども軒をつらね、馬術の競技や早がけなども行なわれました。
この風習は長く続きましたが、現在では山ふもとの人々の行楽を中心にした九十八夜の神野山つつじ祭りとなっています。
なお、ウツギの木は別名オツギの木とも言われ、一年間に一メートル近くも伸びる威勢のよい木で、神野山付近ではたくさん自生しています。

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