「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「神野の民話」から
「ホーラク地蔵」
北野の街道筋字下堂の大岩に高さ75センチの地蔵像がほりとけられている。「建武5年戌寅七月十 日 大夫」とかかれている。六百余年前、鎌倉時代の石仏を見る貴重な資料とされている。
昔からこの村の人たちはホーラク地蔵と呼んで交通安全のお守り様としてあがめてきた。
ホーラク地蔵にはいろいろのいわれがある。
昔、罪を犯した人を自白という。
させるためにホーラクあぶりと言うのがあった。
ホーラクなべの上に油をぬって、その上に罪人の足を置き、下から火であぶる方法であって、たいていの人は、その熱さに思わず白状したという。
そうしたトガを受けた人びとの魂をやすらげるために制作されたものであったのだろうか。
あるいはまたホーラクを割って悲観して死んだホーラク売りを供養するために造られたとも言われる。
またホーラクは法案とは神に向かって経をとなえ、陀羅尼を唱えることを言う。
あたかもここは伊勢参宮街道に面して、伊勢神宮に奉謝の本願から造られたのかも知れない。
いずれにしても、神をあがめ、仏をしのび、足しげくかよう人たちの交通安全と報恩感謝をねがって建造されたにちがいはなかろう。



銘文の大夫の名もそうした悲話の主人公か、あるいは一念発起、ノミをふるった石大工の名であるかも知られない。
今もなお尊くあがめられている石仏である。

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