「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

大和の自然

谷のいろいろ①

奈良県は山が多く 大小無数の谷地形が発達している。大きい谷についてその成因は、吉野川渓谷のように構造線に沿ってできた構造や十津川 北山川の渓谷のごとく川の浸食により生じた浸食にり生じた浸食谷もある。槢曲山脈の方向との関係で、吉野渓谷のごとく山脈の槢曲に並行するものを縦谷 十津川 北山渓谷のごとく横断して流れる谷を横谷と称する などの分類がある。
吉野川は渓谷は奈良県のほぼ中央を東から西に流れる吉野川によりできたものであるが、西南日本の中央構造線び沿って発達した構造谷である。中流の上市村付近から下流和歌山方面へはほぼ東西に直線をなすのは、この成因によるもので、上流は本流を離れ支流を連ねて高見峠から櫛田川の谷へ一直線に通じる。
ちょうど吉野川渓谷が地形上奈良県を南北両地域に分けるのみならず 産業 交通 集落生活 風習なども二つの異なった地域の接触地帯ともなっている。構造線上のピラミッド形の高見山は河谷のいずれからも望み見られるし、この山頂に立つと、展開するすばらしい展望により吉野山地と中央低地の南北両地域の諸景観の相違が見ることが出来る。
この東西の構造は通谷としての特性をいかし人びとが交通路に利用し、紀伊 伊勢 を結ぶ幹線となった。江戸時代のお伊勢参り 紀州藩の参勤交代 の道にも用された。鷲家の辻(東吉野村)には文政十一年の石の道標には「右いせ江戸左はせ大阪道」と刻まれ、百数十里先の江戸を示し、奈良県第一号の道標として重要交通路であったことを忍ばせる。

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