「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん ら大和気象歳時記

「神野の伝説」
「潮の干満を知る硯石」
神野山から大潮の村に入る所に硯岩がある。
巾4メートル、短い方が3メートルの大岩で、岩の上に深さ20センチほどのくぼみがあり、多少の増減はあるがいつも10センチ位の潮がたまって潮はあふれもせず、全くなくなることもない。まったく不思議な岩である。
昔 大師が神野山へ登られるときこの村を通られた。この地域は山奥で塩がないために困っていた。そこで大師は、
「それならこの土地から山塩が出るようにしてやろう。村のくらしがよくなるように」と言って、杖で大きな岩をたたいて穴を掘られると、たちまち岩穴から潮がわいてきた。
大師は潮から塩を取って村人に与え、
「この水は一日に何べんも増えたり減ったりするぞ。この水の加減で伊勢の海の潮の満ち引きがわかるし、また人の生き死もわかるのだぞ」
と言われた。
そこでこの村を大塩となずけたという。
この大岩は、前から見ると硯のような形をしていて、村人たちは「天狗の硯石」と呼んで」いる。

またここから百めほどはなれた所に塩瀬地蔵という石仏がある。

鎌倉時代の作といわれており、当時、交通安全をいのる道祖心神としてつくられたもので、何百年かの間、旅人の安全を守り、旅する人が祈りをささげてきたものである。
また、このあたり神野一帯に海辺だけにしか生えないというマチバシィやタブの群生があるのもまことに不思議なことである。

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