「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くのうのんから大和気象歳時記

大和の自然
大和の古文化財と気象 ③
正倉院に限らず 宝庫は三角材の積み重ねのような格好をしたものが多い。この特殊な建築構造に対して、後世の人びとは防湿建築法と言い伝えられてそれが信じられていた。
湿度観測の結果、正倉院聖語藏内でも、全く湿度の日変化はほとんど認められない。外観構造が異なっていても、内部はヒノキ材の木箱とみなせる同一構造をもったものである。したがって、外気が多湿になった時三角材が膨張し角材と角材との隙間を閉じ 多湿空気を庫内へよせつけないということはない。
そこで 木材の恒湿作用 という考えが出来た。木材は多孔性の繊維を有しており、これがために、庫内が多湿になれば繊維内に水蒸気を吸収し、湿度が減少すれば繊維内の水蒸気を放出するという機構である。木材繊維のこのような性質が箱内、すなわち庫内の湿度を一定に保とうとする、というのが恒湿作用である。
しかし 庫内湿度の不変性が物質保存に有利なのかどうか あるいは多少の湿度変化があったほうが好適なのかは不明である。


聖語藏の内部に保存して経典類が底に穴を開けた木箱が庫内壁から約30センチあけた棚に安置されていた。


この内容は さらに詳しい内容もありますが 現在は解明されていると想います。昭和30年代の観測者の聞いた話です。貴重な話であったのでメモしたものです。

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