「うのん」の気象歳時記ブログ

薬師寺近くの小さな本のある喫茶店

薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「川上村の昔話」から
「伯母峰の一本足」
そねして、それが湯の峰がいいな、湯治に行とったちゃうんやな。ほいで、
「わしが湯入っとる間は、絶対人に見せんな」
ちゅうて、ほいでお前、人にその見るなし、誰も見にくんなちゅうて、へてひとり湯の峰の温泉で療養しとったの。それをその、いまのある人がひょっと見たらしわ。ほいだらその、背中へ笹がいっぱい、笹の葉が生えとったちゅうんわな。ほんで、こらえらいこちゃうて、なにしたら、
「見られたからにはしゃあない。実は伯母峰でおった一本撃つたれてんて。ほんで、
「なんとかしてこの傷なおして、その伯母峰へ向けて行て、その撃つった。そのなにを、西原を、まあ天ヶ瀬の西原が、それを、その、呪うんや」ちゅうたよってに、そらあかんちゅうことから、一気にその、こっち何けて飛脚来たんかしらんけど、来て、
「まあ天ヶ瀬のそのなにを、鉄砲祭れ」と。
鉄砲さえ隠したら、来いひんやろて、鉄砲祭れて、祭ったるて。
それ言い伝えなって、さあ、それ事実見たことないけどな、火縄銃や、昔の種子島ちゅうやっちゃ。それを、その、果ての二十日に汗かくちゅうてやな、果ての二十日に撃ったんかして。

薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「川上村の昔話」から
「姥捨て山」
年寄りできてくるとねえ、食糧がないために、姥捨て山に捨てに行くと。その行くときが負うてねえ、若い衆が負うて行くんやけど、背中で負われとる人、年寄りは、若い衆の帰り道ねえ、迷うたら悪いから、迷うたら悪いからねえ、あの、枝、行く道の枝々を折りもって行ったちゅうことですな。

薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「川上村の昔話」から
「たるまると蛇」
まる師というのがおってね。まる師がひととこでまるをようけすると、かんなくずがぎょうさんでけるんですわ。そいつをそこへほかすじゃんすんですわ。ほいたら、その人らが大勢泊まってね、たるまるをこしらえとったら、米が減ってしょうがないてね。
「どうしたんやろ、こらどしたんやろ」と言うとったらね、その、蛇が米を食てね、太ったんですわ、うんと。蛇が太るとなったらね、皮を脱ぐらしいですわ。腹も背中も一緒に脱ぐんですわ。筒に脱いだ腹の裏にうろこがありますわ。そのうろこが二寸て言いますのやで。そんなうろこがあんのやてね。腹の裏には二寸あったら、胴はこの手いっぱいより大きいでっせ。そのぐらい大きなってきたんでね、
「これはこわい」言うてね、「何処におんねやろ」て木をさらけとたっらね、その小屋のそばでね、せんくずがどさり積んだる。その中に入っとるらしですわ。ほいて、こらもう火つけて焼くよりしょうないて、そこで焼いてね。ほいてしたら、蛇が焼けてね。焼けるうちに、火の中へバーと頭あげてき、あげてきて、死んだていう話、聞いたことあります。

薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「川上村の昔話」から
「吸い付き」
「ヨクスイツイヤススイツイテミヨー」言うて、バタバタと木からおりてきて、からだに吸い付いたっていう。どこかで、夜になったらスイツキボースイツキボーいうのが来て、山歩いっとたら、
「イヨースイツキャスイツイテミヨー」て言うで、
「いえ」て言うたら、
「イヤー」と言うてからだにひっついたいう話

薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「川上村の昔話」から
「子育て幽霊」
(お墓から)木の葉かきわけて出てきて、つけて行ったら、また木の葉かきわけてはいとったいう話。
 お墓で赤ん坊が泣いて、雨も降ってきて、不思議に思うて、明くる日お墓へ行ってみたら、うずめたところの木の葉がかきわけられてあったという話は聞いたなあ。