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#讃岐の雨乞い 13

外部資料滝宮天満宮



〇雨乞太鼓踊り
ここでついに 雨乞い念仏踊りについてふれておきたい。念仏踊りは踊りの諸役・服装・踊りの振付け等においては太鼓踊りときわめて類似する点が多いが、ただ一つ異なるところは踊り唄の代りに念仏を唱えることである。この踊りの発達の過程については別に説いたから、ここでは、現存のもので雨乞に躍らせるものについて少しふれてみたい。まず、この種の雨乞念仏踊りとして最も世に知られている香川県綾歌郡綾南町滝宮のそれについてみると、この踊りは滝宮念仏踊りとして土地の天満宮で踊らせたもので、はやく「西讃府志」にも見えていることは先にふれた。踊りに奉仕するのは、もと綾歌・仲多度の旧二十二箇村が組成する南条(北村)北条・坂本・七箇村の四組で これが交替で奉仕した。組の村々では旱魃になるとまず自分たちの組で踊ったので、綾歌郡飯野村では大川山に登って坂本念仏踊りを踊り、同じ郡の松山村では 氏神で北条念仏踊りを催し、その後滝宮での踊りとなったという。踊りの諸役としては、大傘を立て、陣羽織に軍配団扇を持った下司役・笛・貝・太鼓・小踊り・地唄その他があるが、その中心は下司役であって近畿地方の太鼓踊りのシポチに当たるものである。これらの踊りに合わせて唱えられる念仏は、ナンマミドーヤ ナマミドーヤ ハアナムアミドーヤ ナツポミドーヤ で南無阿弥陀仏の転訛したものであることはいうまでもない。現在では毎年八月に行われるが、本来は臨時に雨乞に行われたものであり、その際は踊り手の花笠の垂れを水色にし、下司の持つ軍配の両面にそれぞれ「水」・「雨」と書く。見物は竹の皮笠に蓑をきて集まったものという。いかなる旱魃でも三十三庭(回)踊ると必ず降る。踊りの途中で振り出しても終るまで止めない。踊りの参加者は七日前から一箇所に集まって水垢離をとる。菅公が讃岐守であった時、彼の祈雨で潤雨を得た喜びに踊りだしたのに始まると伝え、以来八十二回の雨乞踊りがあったが、降らなかったのは二回だけだという。最近では昭和⒕年 同23年に滝宮天満宮で 39年8月22日には綾上町の小学校で雨乞念仏が行われた。
(「古今讃岐名所図会」阿部郡・香川県神職会編「香川県神社誌」下巻 綾歌郡の項
                     ならびに昭和40年調査よる)

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