「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

大和の古文化財と気象
校倉造りのなぞ

外部資料
正倉院に限らず一般に宝庫は三角財の積み重ねのような恰好をしたものが多い。この特殊な建築構造に対して、後世の人々は、防湿建築法だと言い伝え今日大部分の人々はそれを信じている。
湿度観測の結果、正倉院聖語蔵(校倉構造)内でも、また現宝庫内でも、さらに校倉構造でなお新宝庫内でも全く一様に湿度の日変化はほとんど認めらえない。外観構造が異なっていても、内部はヒノキ材の木箱とななせる同一構造をもったものである。したがって、外気が多湿になった時、三角財が膨張して角材と角材との隙間を閉じ多湿空気を庫内へよせつけないという言い伝えは、違うと思われる。
ここに木箱内の湿度一定である考えが出てきた。すなわち、木材は多孔性の繊維を有しており、これがために、庫内が多湿になれば繊維内に水蒸気を吸収し、湿度が減少すれば繊維内の水蒸気を放出するという機構である。木材繊維のこのような性質が箱内、すなわち庫内の湿度を一定に保とうとする、というのが恒湿作用である。

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