「うのん」の気象歳時記ブログ

薬師寺近くの小さな本のある喫茶店

薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

天武神社 薬師寺を造った天武天皇をお祀りしています。静かな人目につかない場所ですがいちもきれいにされています。
うのん から大池(勝間田池)の絶景ポイントの手前南側です。
薬師寺が地元に根付いている神社です。


「吉野の民話」から
「高坊主」
昔は、里山といって、山の中にも家がいっぱい集まっているところがありました。そんな里山の家の周りには、いつもキツネやらタヌキやらがたくさん住んでいました。
ある晩、魚を買って、町から機嫌よく帰ってくる人がおりました。民家の灯りがもうそこまで手に届くようになってきたところで、ボーンと、大きな男がいきなり前に立ちはだかりました。
「うわっ、高坊主だ。」
大きな男は黙って立っているだけでしたが、その様子から、黙って魚を置いていけと言っているように見えました。
「た、た、た、助けてくれー。」
たいていの人は、家の軒よりも高いこの高坊主にびっくりして、大事な魚を置いたまま、大急ぎで自分の家まで逃げて帰りました。
別の晩に、たまたま知恵のある若者がここを通りかかりました。若者は、どうしても今日は家まで帰らないといけない日でしたので、どうしたらいいものか思案をめぐらせました。そこで、突然、高坊主に向かって、
「もっと高くなれ、もっと高くなれ。」
と大きな声でさけびました。高坊主はぐんぐん大きくなりました。もっと高く、もっと高く大きな声でさけぶと、高坊主は電信柱のように、ぐんぐん、ぐんぐん大きくなりました。若者は持っていた杖で、高坊主の足もとを思いっきりはらいました。すると、
「痛い!」
あれだけ大きくふくらんでいた大男が、急に後ろを向いて逃げ出しました。
そして、すうっと暗闇の中に消えてしまいました。

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