薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記
「川上村の昔話」から
「兎と亀」
むかし、兎と亀とが、その、駆けくらべしょうらと。ほいで、相談ができたというようなことでな。ほしたらもう、兎はもう、ああして四つの足あって、けども、もう、はねる力は強いし、そらあもう、亀のごそごそ歩くんとしたら、そんな問題やないんやと。
けども、亀はなあ、
「うん、おんどれ、ちょこざいな」と言うて。
あれは、それはもうおおいに働きもんやったそうやなあ。その、働きもんやって、親孝行やったと。兎にしたら、これはもう大急けもんでやったと。で、それと駆けくらべして、ほいたら、
「あんな亀さんに絶対負けるか」と言うて、途中で兎は寝たと。その亀はいっしょうけんめいなって、その間に歩いたんや。まあ、先っちょをよう行ったってよ。