「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「川上村の昔話」から
「果てしない話」
殿様が退屈して、そしてその、
「わしがもう、もうやめえって言うまで話をつづける者がおったら、ほうびをやろう」ということで、ほいで、誰が話をもってきても話にはしまいがあるんで、それで殿様に気に入られなんで、話が。そしてもう、お前の話はだめや、お前の話はだめやと、もうみな断われて。
ところが、ある男が殿様のところへ行って、
「わたしはもう、殿様がもうええって言うまで話をしましょう」って言うまで話をしましょう」って言うて。そしたら、
「聞かしてくれ」って。ほしたら、
「あるところ大きな樫の木がありました。ほして、その樫の木の下には大きな池がありました。やがて、樫の木に樫の実がなりました。大きな樫の木やから、もう樫の実も何億何万何千ていうくらいの、その、樫の実がなりました。やがて、樫の実が、あの、色づいてきて、そして、落ちだしました。一つの樫の実が落ちて、そして、下の岩に当って、カチンと当って、そして、その池へトボンとはまりました。また一つおちてきては、カッチントボン、カッチントボン・・・」
「もうそのくらいで話をつづいてやれ」ったら、
「いや、これが話のつづきです。なにしろ数えきれん樫の実が落ちてくるんやから」
それで、その、いつまでたってもカッチントッポン、カッチントッポンを言うて、とうとうしまいに、あの、殿様は、
「もうそれでよしや。お前の話はようわかった」っていうことで、ほうびをもろうたっていうようなことを、あの、聞いたことがありますなあ。

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