「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「川上村の昔話」から
「倍増しの米」
豊臣秀吉が
「お前、しかし、なんじゃあ、おれに対して、なんじゃあ、なんなっとおれがやるさかいに、ほんで注文してみい」て、こういうことにしたら、曽呂利新左衛門が、
「それじゃあ太閤さん、あの、私の頼むもんをくれますか」ちゅうて、
「おお、なんなっと言え。やるわ」
「ほんなら、その、障子のこまを倍増ししただけ、あの、米をくれられますか」ちゅうて、
「おお、よっしゃ、やろうぞ」言うて。
ほで、その勘定をして、あの、くれられるのを、それ、勘定してみたもんがある。自由にしたら、もう、障子のこまは、まあ、倍増しですわなあ。こりゃあ一様や、ところがここまできたらもう二俵や、それで、ここまで来たら四俵、八俵、十六俵と、こういう、その、勘定にしてきたら、日本国中でその米はでけんだと。そんな米あらへんで。ほいで、そこで曽呂利新左衛門に豊臣秀吉は謝ったちゅう。その話を、まあ、聞いたことありますわ。
それに関連して、奈良の猿沢池のそばに五十二段ちゅう段ありますわな。五十二段ちゅうな。一番下に一銭のせて、一銭、次に二銭のせて、それを倍増しにしていて、日本国中そんな金がねえで。
勘定してみると本当に大きな金になるんですわ。一番下へ、まあ、一円のせてごらん。
それを五十二段のせたら、日本国中は金ゃあらへん。そういうような、まあ、話もね、してくれました。

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