「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「子供のための大和伝説」から
「投げ地蔵」

むかし 役の行者が大峰山を開かれた時に、金峰山にこもって、末世の衆生を利益する尊像を作りたいと三世諸仏に祈願されますと、満願の日にお地蔵さんが出現されました。ところが、役の行者は、こんな柔和忍辱の相といって、やさしい顔や姿では、末世の衆世を彩度できない(いまの世の人々を教えない)と思って、その尊像をとって、はるかの谷へ投げつけられました。ところが後に、暗夜に光明が輝きましたので、この吉野郡川上村神之谷へこられると、お地蔵さんが大かごに乗って大岩の上に立っておられました。役の行者は喜んで丹精をこめて、石楠花の大木で地蔵さんの像を刻み、本堂を建てて安置しました。これが神之谷の金剛寺で、この地蔵さんを役の行者の投げ地蔵といわれています。



この投げ地蔵には次のような、ちょっと違った伝説もあります。
むかし、役の行者が大峰山を開かれる時、にわかに空がかき曇って、怪しいものが降ってきました。行者は、
「おのれ!修行の邪魔をする!」
と怒って手に持っていた錫杖の先で、そのものをはね飛ばされました。それが神之谷に落ちました。
これが、今は金剛寺に安置されており、石楠花の木造りで、投げ地蔵と呼ばれています。

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