「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「子供のための大和伝説」から
「百貝岳と餅飯殿町」

吉野山の南方八㌔、百貝岳の中腹、黒滝村鳥住に、大峰山を中興した理源大師の開かれた鳳閣寺(ほうがくじ)という真言宗のお寺があります。
役行者が大峰山上ヶ岳を開かれてから、二百年ほどたった時、山中の滝に大蛇が住んで人に危害を加えますので、大峰へ登山する人も少なくなり、霊場もあれはててしまいました。
そこで、利源大師は勅命を受け、奈良に住んでいた武勇の先達で、箱屋勘兵衛という人を供につれて、百貝岳のふもとに着き、ホラが淵で水ゴリをとり、百回岳に登って、大きなホラ貝を吹いて祈とうをしますと、その音は百のほらが一時に鳴ったような音をたてましたので、大蛇はホラを出て山へ登ってきました。
そこで、大師は法力でこれをしばりつけ、勘兵衛は大きなオノをふるって二つにきりました。これからは大峰登山の道も再開されることになりました。それでこの山を百貝岳というようになり、大ホラ貝と蛇の骨が宝物になって、いまもこのお寺に残っています。



奈良に餅飯殿町という、おもしろい名の町があります。いまは奈良のにぎやかな商店街になっていますが、勘兵衛さんはそこに住んでいた人でした。
奈良から鳳閣寺の利源大師のもとへ参る時は、いつも大師の好物の餅や飯などを持って行きましたので、大師は勘兵衛さんのことをたわむれて餅飯殿、餅飯殿とよばれました。
それから、勘兵衛さんの住んでいる町の名を餅飯殿町となったのだといわれます。

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