「うのん」の気象歳時記ブログ

薬師寺近くの小さな本のある喫茶店

薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「子供のための大和伝説」から
「蛙飛び行事の由来」

白河天皇の延久年間のことだといいますが、吉野の金峯山へ参詣する山伏姿の修験者のなかに、平生から神仏をあなどり、人の苦しみを見て喜ぶつまらぬ男がありました。
「行者とおれと、どちらが尊いか、悪いことしつづけたおれが、この山上へきても何のさわりもないではないか。いくら行者でも、仏の力でも、このおれにはかなわぬと見といって、カラカラと笑いました。
すると、たちまち、付近はまっ黒な雲につつまれて、その男は高い高い鷲の窟にさらわれてしまいました。
男は声を限りに亡きさけびました。
「きょうから、ま人間にたちかえりますから、どうぞお助けください」
すっかり後悔したのを見た金峯山寺の高僧は、かわいそうに思って、
「お前を助けてやるが、とても人間としては助けられないから、蛙にして助けてやろう」
と、口で何事かを念じて、その男をとうとう蛙にして、恐ろしい窟の上から救ってやりました。
それから蔵王堂につれて帰り、吉野全山の僧がより集まって、お経を読み、やっとこれで人間にかえすことができました。
この伝説によって、毎年七月七日の花供養の日に蛙飛びの行事という宗教劇のような法事があります。
蛙の形をした布の中へ人が入り、青年にかつがれた神輿に乗って、吉野町内を練り、蔵王堂の中へ、その蛙が入ってゆきます。そこで数人の僧が蔵王権現の前でこの蛙にお祈りをすると布製の蛙の中に入っていた人が出てきて、蛙が人間にかえったということをあらわします。

×

非ログインユーザーとして返信する