「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「子供のための大和伝説」から
「孝女伊麻(こうじょいま)とうなぎ」

寛文十一年の夏、悪病が流行した時、当麻町南今市の伊麻さんのお父さんも病にかかって、食事もとれなくなりました。伊麻と長兵衛のふたりの子は昼夜かいほうにつとめましたが、すこしもよくならず途方にくれていました。
うなぎを煮て食べると早くなおるということがわかり、ふたりは急いでうなぎをさがしましたが、なかなかみつかりません。力をおとして悲しんでいますと、その夜、水かめ(水を入れるつぼ)のなかで音がしますので、ふたりがあやしいみ、火をともして見ると、大きなうなぎがそのつぼのなかで泳いでいました。
ふたりは喜んで、さっそく料理してお父さんに食べさしますと、お父さんの重病はたちまち全快しtといいます。
孝行な伊麻や長兵衛という人は実際にいた人で、南今市に天保十一年に建てられた考子碑(こうしひ)もあり、この村の上田さんの家には「今市伊麻兄弟孝行伝記並和歌」という本や「大和今市考子伝」などという本ものこされています。俳聖(’はいせい)の芭蕉も孝女伊麻に会いにきたこともありました。
しかし、このうなぎの話は、その考子にまつわる伝説というものです。こんな孝行なふたりであったということを語り伝えたおはなしで、実際にこんな事実があったかどうかははっきりしません。

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