「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「子供のための大和伝説」から
「お亀石」

高市郡明日香村の河原の南、橘寺の西門を出て、数百メートル西へ行くと、田の中に大きなお亀石があります。
大きな石を亀の形にほったものですが、だいぶん古い時代のものたしく、それが、西南の方を向いて田の中に、ななめに寝そべっているのです。こんな大きな石のほりものが、いつの時代に、何のために造られたものか、いまの学者もはっきりした説明ができないくらいですから、むかしも人も、ふしぎに思ったにちがいありません。
それで、このお亀石について、次のような伝説が村の人々によっていい伝えられました。


大むかし、大和が湖水であったころ、湖の対岸の当麻と河原との間にけんかが起こりました。当麻の主は蛇で、河原の主は鯰でした。ところが、このけんかは、ついに川原の方が敗けになり、とうとう湖の水を当麻の方へ敗られてしまいました。そのため、湖の底は平地とかわり、湖に住んでいた無数の亀は、みんな死にほろんでしまいました。その後、何年かたって、村人はこの死にほろんだ。あわれな亀の霊をなぐさめるため、亀の供養碑を、もとの湖岸にたてました。川原のお亀石はそれであります。
いまは、お亀石はひつじさる(西南)向きですが、もし、これが西向きになって、当麻をにたむ時には、一度平地になった大和盆地は、また泥海になるといわれています。

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