「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「子供のための大和伝説」から
「聖林寺の地蔵さん」


桜井市の駅前から、多武峰行きのバスに乗ると 途中に聖林寺というお寺があります。国宝の十一面観音さまがおられるので、拝観の人があとをたちません。
しかしこの寺の本尊は、この十一面観音さまではなくて 大きな石の地蔵さんです。この地蔵さんを作られた時の話が、次の伝説として伝わっています。
むかし、この寺に文春法師という偉い和尚さんがおられ、かねがね地蔵さんを作りたいと念願しておられました。この辺には、よい石はあるが、よい石屋さんがいないので困っておられましたが、ある夜、但馬の国(兵庫県)によい石屋さんがいるという夢を見られ真した。それでさっそく翌朝、但馬の国へ出発され、夕方、奈良まで来ると、向こうから三人づれの男が、こちらの方へ来るのに出合わされました。
「もしもし、そなたたちは、どちらへおいでじゃ」
と文春法師が聞かれますと
「はい、わたくしらは、但馬の国の石屋でございます。地蔵さんを作ることを職にしていますが、よい石がないので困っていましたら、夢で、大和に地蔵さんを作るりっぱな石があるということを知って、喜び勇んできました。」
と申しました。
「ほう、わたしも夢で、但馬の国にりっぱな石屋さんがいると教えられて、出かけてきたところだ。それはよかった。」
と文春法師も大よろこび、さっそく、その石屋さんをつれてもどりました。
そして次の日から、その石屋さんは、この聖林寺さんを作ることに、とりかかりました。
こうして作られたお地蔵さんが、この寺のご本尊で、今も子安地蔵さんとして信心をあつめておられます。

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