「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「子供のための大和伝説」から
「牛の宮」

むかしは人の家へ奉公にゆくといって、一年でいくらの金をもらうという約束で、雇われて行きました。今は子供はそんな働きに出してはいけないという法律がありますが、むかしはそんな法律はなく、子供でも奉公にやるうちがあったようです。
この話は、そんな時代のむかし話です。


大和郡山市の池之内町に牛の宮という小さな塚があります。東西十三㍍、南北十㍍ほどの古墳で、むかしは堀もあったようですが、今はなくなっています。
むかし、この近くのある百姓家が、六カ年の約束で、ひとりの子供をやといました。子供は主人に仕えてよく働きましたが、約束の半分の三年たった時に、ふとしたことから病気になって死んでしまいました。
その後、主人の夢にその子供があらわれて、
「生きている時は、大へんごやっかいになりました。約束のあと三年は、あす、牛かいがひいてくるはずの、牛を使ってくだし。毛色は私と同じようにまッ黒です。時刻は朝の七時ごろです。」
とこまかにつげて消えてしまいました。
はたして翌日、夢のとおり、朝の七時ごろ、まっ黒な牛が牛かいにひかれてきました。
主人の百姓はそれを買いとって使ってみましたが、実によい牛で、ほかの牛の二倍も三倍も働きました。
そして三年たったのですが、三年目に、何事もないのにその牛は急に死んでしまいました。主人は大そう悲しんで、塚を築いて、その牛を葬ったのが、この牛の宮だということです。

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