「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「子供のための大和の伝説」から
「大安寺西塔と礎石」

南都七大寺の一つである大安寺は、今は小さくなっていますが、むかしは東大寺や興福寺 薬師寺などと並んで、ひけのとらないくらいの大きなお寺でした。
そのお寺の南の方には東塔、西塔の二つの塔が建っていて、それが黄金造りであったと伝えています。その光りは闇の夜でも遠く山を越えて、大阪や堺の海まで照らしていました。その光のために大阪や堺の海では魚が集らなくなったので、漁民たちは大いに苦しみ、ついに隊を組んで大安寺におし寄せ、火をつけて焼いてしまいました。
それから魚ももとのように取れるようになったという話です。


その大安寺の塔の礎石を、明治初年に寺が衰えたとき、ひそかに金にしようと思って、ひとりの石工が夜、先ず西塔の心柱の立つ大きな礎石を割りかけてました。ところが石の中から真っ赤な血がふき出してしまったので、石工は驚いて逃げ帰り、病みついて、とうとう死んでしまいました。その後は、だれも手をつけるものがなく、今も奈良市大安寺の南に、「史蹟大安寺塔跡」として畑の中にその塔のあとがあり、そのまん中に大きな心礎が残っています。

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