「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「子供のための大和の伝説)から
「幽霊松と鴻の池」

奈良市の西北部、法蓮に淡海公(たんかいこう)という小山があります。聖武天皇の御陵の陪塚(ばいちょう)の一つでいただきに枯れた松の大木が、きれいなかっこうに立っていて幽霊松と呼ばれています。
また、山の西北のふもとに鴻の池という深い池があって、しばしば、この池へはまって死ぬ人があります。
むかし幽霊松の上に、一羽の鳩がとまっていました。猟師が見つけて、これをうちました。
ところが、これは幽霊が形をかえていたものだったので、元の形にかえれなくなったものですから、今に、人にたたることになりました。幽霊松という名も、そこから出ているのだそうです。
もし人が山の付近に行って、幽霊松が風でギイギイと鳴り出す音を聞くと、鴻の池の水面が、すっかり敷きつめた青畳になり、池のむかいの山には、見事な家が立ちならんで見えます。おぼえず足を進めると、たちまちズブズブと水におちいってしまうのだといいます。
また一説には、松永弾正(まつながだんじょう)が織田信長に滅ぼされた時、その奥さんが鴻の池に身を投げて、大蛇となって池のヌシになりました。それがため、毎年あの池でひとりふたり死人が、できるのだといいます。

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