「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「子供のための大和の伝説」から
「古女郎大明神(こじょろうだいみょうじん)


現在は国道24号線となっていますが、JR奈良駅から南へ約150㍍ほど行った地に、昭和の初めごろまでは、「あいがいし」という竹藪がありました。その藪の中ほどに橋があって、そこに狐が住んでいたということです。
むかし、ある夜、ひとりの武士がここを通りかかりますと、目の前に坊さんがひょっこりあらわれ、武士に突き当たりあした。
武士はまっ赤になって怒り、
「無礼者、手討ちにするぞ」
と叫びますと、「何をぬかす、坊主にするぞ」と坊さんは答えました。そして坊さんはスーと、その姿を消してしまいました。
「おや」
と思っている間もなく、こんどは四人の坊さんがあらわれ、武士の頭をそって、坊主にしてしまいました。
これはこの橋の下に住む狐のいたずらであったということです。
昭和7年、国道工事の際、この竹藪がこわされたので、狐は怒って路を幾筋にも見せて、工事人夫を負傷させました。人々は、この狐のたたりを恐れて社をつくり、古女郎大明神として祭っているということです。


むかし、この「あいがいし」の竹藪の西にあった高橋堤のセンダンの木と、元奈良高校の西百㍍の所にあったセンダンの木は、ともに野中に立っていた古木でありました。この両方からジャンジャン火が出て、よく互いに合戦をしたということです。
いまはその南の高橋堤の木もなく、北の方も古木の株だけになりました。

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