「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「子供のための大和の伝説」
「家康と桶屋」

徳川家康が大阪の陣の時、真田幸村に破られ、ほうほうの態(てい)で奈良まで逃げてきました。漢国神社の前までくると、そこに一軒の桶屋があって、トントンと桶をたたいています。
それを見た家康の家来は、
「この桶の中に、この人を入れてくれ」
と頼んだので、桶屋は承知して、家康を桶の中にかくして、知らぬ顔で、また桶をトントンとたたいていました。
一方、幸村は得意の天文を見ると、家康の星があらわれたので、その跡を追って、これまた奈良に入り、漢国神社の前の桶屋のところまで来ると、いままであらわれていた家康の星が、急に消えてしまいました。
さすがの幸村も、家康のかくれ場所を見出すことができず、家康はあぶない命をたすかることができました。


その後、桶の中から出た家康は、ふたたび幸村に追われて、しかたなく、春日大社の本殿の中にかくれました。すると、幸村はここがあやしいというので、春日さんの境内にの祠を一つ二つ三つと三番目まで槍でついて見ましたが、別に何ともありませんでした。
そこで、今度は四つ目をつこうとしたところ、見るとそれは本殿であったので、さすがの幸村も遠慮して、槍をかついで春日大社を立ち去りました。
そこで、今度も家康は九死に一生を得ることができました。
大阪の陣も終わりを告げて、家康が天下を取ったので、かれは以前にあぶない命を助けてくれた桶屋にたくさんのお礼をし、また春日大社には二万五千石の社領をさずけました。

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