「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くのうのんから大和気象歳時記

「子供のための大和伝説」から
「走り行法(ぎょうほう)と青衣(しょうえ)の女人(にょにん)

奈良の東大寺では、毎年3月1日から14日まで、二月堂で修二会という行事があります。俗にお水とり、またはおたいまつといっています。
この行事のうち、十二、三、四の後夜におこなわれる行法の中に「走り行法」というのがあります。二月堂のお堂の中でおこもりの坊さんが走って行う行法です。
むかし、実忠和尚が笠置の竜穴にはいると、常念観音院(じょうねんかんのいん)という所で、天衆(坊さんのこと)たちが集まって修行してました。
和尚は、この行法を人間の世界にも伝えたいと思われ、天衆たちに話しますと、
「兜率天(とそつてん)という仏の国の一日は、人間世界の四百年に相当するし、行法も厳格で、一日に千回の行道を正しく行わねばならないから、人間世界では無理である」と教えました。和尚は一心にやれば人間世界でもやのないことはないと信じ、この行法を走って行うことにしました。
それで走りの行法と呼ぶようになったといいます。


この修二会の行事の中に、過去帳の転読というのがあります。亡くなられた東大寺関係の方々の名をたくさんよみ上げるのです。
鎌倉時代に、東大寺の僧、集慶(しゅうけい)さんが過去帳を読みあげていますと、そこへヒュウと青い衣を着た女の人が現れました。
「なぜ、私の名を呼んでくれないのですか」
とうらめしそうにいいました。
何だか見たような人でもあり、見たことのない人でもありましたが、集慶さんは即座に「青衣の女人」と読み上げました。すると、その人はスウッと姿を消したといいます。
それ以来、過去帳を読む時は、この「青衣の女人」も読み上げるようになりました。

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