「うのん」の気象歳時記ブログ

薬師寺近くの小さな本のある喫茶店

薬師寺近くのうのんから大和気象歳時記

「神野の民話」からさし絵もそのまま紹介させて頂き真す。
まだ ステイホーム 民話を楽しんで頂ければ幸いです。
「神野の天狗」
その昔、神野山ははげ山で荒々しい岩はだがむき出しになった頂上に、たった1本の杉の木が、にょっきりつっ立っているだけでした。
この山に住む天狗衆は、やっぱり天狗が住んでいる向かいの青葉山の美しい芝生や若い木々、きれいな岩山をいつもうらやましく眺めていました。
ある時、ふとしたことから両方の山の天狗衆が大げんかを始め、かんかんに怒った青葉山の天狗は、大事な芝生や草木、大石を神野山めがけてどんどんなげつけました。
神野の天狗は投げるものがありませんから、わざと弱いふりをして見ているばかりでした。
そのうち、はげ山だった神野山は全山美しい芝生に包まれ、石の流れは鍋倉渓をつくり若々しい緑とつつじの花が咲く景勝の地となりました。
反対にあれほど美しかった青葉山はまるはだかとなり、神野の天狗衆はやんやの声あげて大よろこびました。
ふもとに住む里人たちもまた、おおいによろこんで山に登り、天狗さんにごちそうやお酒をささげ、家の入口には勝運・福運・魔よけとして天狗を飾って家運の繁栄を祈ったということです。

このならわしは今も続き、つつじの咲く九十八夜を中心に神野山登りとしてにぎわっています。

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