「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「紀州の龍神民話」
娘と四人の番頭
昔、あるところにな、大きな見代の分限者がおったということやが、そこにたいがい賢うてきりょうのいええ咲(さと)ちゅう一人娘がおったんや。そいでその娘が年頃になってきたんで、婿を取らんなんようになって、まあ養子を探いてたんや。というても仲々見つからんし、わがとこの四人の番頭のうちから選ることになってな。
そこで四人の番頭を呼んでから、「話をサンガに詰めてみい」ちゅう問題を出いたところ、一の番頭も二の番頭も三の番頭も何のこtぽかわからんさかい黙ってしもたんや。
「天を片荷、風をオウコにこれ一荷。山を片荷に海片、川をオウコにこれ一荷。お前片荷にわし片荷、ヘノコをオウコにこれ一荷」ていうたんやて。
そいで主人は感心したんやが、別嬪で利口な娘はこんな風呂焚いてるような見映(みば)の悪い男の嫁になるの叶わんと思もたっみゃろかい。そいで「天にそびえて咲く花に 目をばかけるな これ杢造」て歌うたんやて。うん、娘の名は咲とか咲花とかいうんや、番頭の方は杢造ていう名だったんや。
そいたら今度は杢造の下になる。」て歌い返いたんやて。ほいで杢造は娘の婿になってめでとう納まったんや。

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